A lie? true?



「えいぷりるふーる?何よそれ?」
「人間界で一年に一度、ウソをついても許される日なんスよ」
いつものようにおやつタイムを満喫していたエトナに一匹のプリニーが話しかけた。
「はぁ?何その無駄なイベント」
プリニーの発言に驚きすっとんきょうな声になるエトナ。
「無駄なイベントじゃないッスよー。人間達はありきたりなウソを毎年つく程、エイプリルフールが好きなんスよ」
「ふーん・・・。たとえばどんな?」
エトナは、少し気になるのかお菓子を食べるのを止めた。
「そッスね〜・・・。引っ越すことになったとか、好きですと告白したり、サイトを閉鎖とか・・・いろいろあるッス」
「・・・最後の方はいまいちわからないけど・・・どっちにしろあたしには関係がないイベントね」
興味がなくなったエトナは止まっていた手を動かし再びお菓子を食べ始めた。
「何故ッスか?」
「アンタねぇ・・・。悪魔にとってはウソは日常茶飯事でしょうが。今さらウソがどうこう言ったって無駄よ無駄」
呆れ顔でプリニーに言うエトナ。
「そういうもんスかねぇ・・・?」
「そういうもんよ。無駄話はもういいから冷蔵庫からプリン持ってきて。いますぐよ。遅れたら・・・わかってるわよね?」
一通りのお菓子を食べ終えたのか、大好物であるプリンを食べようとしプリニーに要求する。最後の方は脅しに近い表情でにらめつけている。
「アッ、アイアイサー!」
冷や汗をかきながら大急ぎで部屋からでていくプリニー。少しでも遅れたら・・・・・・なんとも命がけなプリニーの日常であった。



「ウソ・・・か」
エトナは、一人小さく呟いた。
「・・・・・・いいこと思いついた・・・」
そしてニヤリと笑ったのだった――。



「殿下ー。ちょっといいですか?」
「なんのようだエトナ?」
廊下を歩いていたラハールを見つけ歩み寄る。
「えっとですね・・・実はあたし・・・・・・好きな人・・・というか悪魔?がいるんです」
いつもの態度とは一変して頬染めてモジモジするエトナ。
「・・・なんだそのあからさまなウソは」
全く信じていないラハールは呆れる。
「ウッ、ウソじゃないですよ〜!ホントですって!」
「・・・では何故そんなに慌てている?」
「気のせいですよ気のせい。そっ、それよりも殿下、あたしの好きな人誰だか気にならないんですか?」
無理矢理話題をそらすエトナ。
「・・・別に気にならん」
エトナに対して素っ気ない返事をするラハール。しまいにはエトナから目をそらし、そっぽを向く。
「ホントですかぁ?なんだかすごい気になる顔をしてる気がするんですが」
落ち着かないラハールの態度にニヤニヤするエトナ。
「そんなことがあるか!!」
ラハールは顔を赤くしながらエトナの言葉を聞き、大慌てで振り向き否定した。
「ちなみにー・・・あたしが好きな人はすぐ近くにいるんですよ?」
「・・・何っ?!」
最初の時の呆れ顔ではなく、今度は驚いた表情でエトナを見た。
「ほら。やっぱり気になるんじゃないんですか。」
「うっ・・・。けっ、家来のことを知ることは魔王の仕事でもあるのだ!」
「そりゃまそうですけど・・・」
正論を言われ、虚をつかれるエトナ。
「・・・それで誰なのだ?」
顔をしかめながらエトナに聞くラハール。
その台詞を聞いた時、誰にも気がつかれないくら小さくニヤリと笑みをこぼしたエトナ。そして実に楽しそうに、
「それはですねー・・・・・・殿下です」
「・・・は?」
「だから、あたしの好きな人は殿下なんです」
まっすぐにラハールを見つめるエトナ。その瞳には迷いがなかった。
「・・・・・・!」
ラハールは、自分と同じ赤い瞳に真剣に見つめられ赤くなる。
次にエトナはここぞと言うばかりか、声色を変えて、
「・・・あたしのこと・・・キライ・・・ですか・・・?」
うっすらと頬染め、瞳を潤ませながらラハールに聞いたのだった。
いつもと違う様子にラハールも虚をつかれどぎまぎする。
そして下を向き、呟くような声でゆっくりと、
「・・・オレ・・・様は・・・・・・」
答えようとするが、なかなかその先がでてこない。
(・・・・・・クスッ・・・)
うろたえ、悪戦苦闘するラハールをしばらく黙って見ているエトナ。その表情は実に楽しそうだった。
「で、どうなんですかぁ〜?殿下。オレ様は・・・の続きは?」
「っ・・・!」
「ほらほら〜。さっさと言ってみてくださいよー」
ラハールの態度を特大の笑みで見つめるエトナ。
そんなエトナの様子に気がついているのかいないのか、ついにラハールは、
「だからオレ様は―――!」
大声でその先を言おうとした。・・・が、
「ウソですよ殿下」
「なっ・・・?!!」
エトナがラハールの言葉を遮り、真実をつげた。
好きだと言われた時よりも驚きエトナを凝視するラハール。
「今日は人間界で『エイプリルフール』ってイベントだそうですよ。なんでもウソをついてもその日だけ許されるそうです」
「えっ、えいぷりるふーるだと・・・?!」
「はい」
「・・・ということは・・・さっきお前が言っていたことは・・・」
「ウソです」
「ぐっ・・・!」
さっきまでの自分の態度を思い出し、赤かった顔が今度は別の意味で赤くなるラハール。
「殿下、顔赤いですよ?もしかして何か期待しちゃいました?」
顔が赤いラハールを見てケラケラ笑うエトナ。
「ふっ・・・ふん!そんなことだろうと思っておったわ!どうせ好きな人とか言うのもウソだろうが!」
エトナに対抗するように開き直るラハール。
「あっ・・・それは本当ですよ」
「んなっ・・・!?」
本日何度目かの驚きがラハールを襲う。
「好きな人・・・ってのは多分本当ですよ。まぁ・・・あたしにもまだよく分からないんで微妙なところなんですが」
「ちっ、近くにいると言ったことも本当なのか・・・!?」
「さぁ?どうでしょうかね?」
ニコッっと笑うエトナ。
「真面目に答えろ!」
「そのうち話してあげますって。それじゃ殿下、あたしやることあるんでこの辺で失礼しますねー」
「まっ、待てエトナ!!」
立ち去ろうとするエトナを止めようとするラハール。
「あっ。さっきの殿下の態度、すっごく面白かったですよ〜♪」
「っ・・・!!」
エトナはニヤリと笑い、ラハールをからかいながら去っていったのだった。
ラハールはラハールで、エトナの言葉でまたもや数分前の自分の様子を思い出し、行き場のない恥じらいに更に顔が赤くなるのだった――――。



「あっ、エトナ様〜。どこ行ってたんスかー。せっかく冷えてたプリンが台無しッスよ?」
自分の部屋に戻ってきたエトナを待ち構えていたのは、ラハールの所に行く前に一緒にいたプリニーだった。
「あー・・・。そいえばそうだっけか。事を察して冷やしておきなさいよねー」
「いっ、いくらなんでも無茶ッスよー!」
「・・・まっ、いいわ。そのプリン冷蔵庫に戻しといて」
「・・・・・・へ?いっ、いつものように投げないんスか?」
エトナの機嫌を損ね、爆発させられると思ったプリニーは呆気にとられた。
「・・・どういう意味よそれ?」
「ななっ、なんでもないッスー!」
目を細め、プリニーを睨むエトナ。
プリニーはエトナの瞳を見て、これ以上余計なことを言えば本当に投げられると思い慌てて否定をする。
「え、エトナ様何か機嫌がいいッスね〜。何かいいことでもあったんスか?」
「いろいろとねー」
ニヤニヤと笑うエトナ。
そんなエトナを様子を見てか、触らぬ神に祟りなしと言った感じでプリニーは、
「そっ、それじゃプリンを冷蔵庫に戻してくるッスね」
すたこらとエトナの部屋を後にしたのだった―――。



「あー!ホントおかしかった!殿下のあの反応・・・今でもはっきりと思い出せるわ」
自分の部屋でくつろぎ、しばらくケラケラと笑うエトナ。
「それに、好きな人は本当です。って言った時の殿下の驚きようったらありゃしないわ。・・・・・・でも・・・殿下・・・あたしの好きな人誰だと思ったんだろ?それに・・・・あの台詞の続きって・・・・」
急に真剣な表情になるエトナ。
「・・・・・・もし・・・もしウソじゃないって言ってたら・・・・・・」
上を見上げ、考え込む。
「・・・いつか・・・本当の告白をした時・・・殿下はなんて言うんだろ・・・」
ラハールをからかっていたような表情ではなく、何かを思いつめるような表情になったエトナ。



「あたしは・・・殿下のこと・・・どう・・・・・・思ってるんだろう―――――」




−あとがき−
はいー!相変わらずの終わりが下手すぎるぞコンチキショー!なくらい下手な終わりかたでホンットスミマセン・・・!(土下座)
なんていうか、ラハールもエトナもまだ自分の気持ちに気がついてないイメージで書いてみたんですが・・・イヤコレほんと微妙すぎだろ○| ̄|_
実と言うとこのネタ、知り合いがやっていたものを参考にしたんです(
電話で、「好きなんだ」と言い、「ウソだよー」って言ったそうです。
そしたら相手は、「・・・ウソじゃなければよかったのに」と呟いたそうで・・・w
そこから今回の話ができあがりました。ちなみに・・・許可とってないけどまいっか(ぇ)
ではでは、読んでくださった方ありがとうございます。少しでもお楽しめたならば幸いでございます。





2008/04/01