「殿下、もしフロンちゃんが天界に帰るって言ったらどうします?」
「・・・なにっ?」




Difference



魔王城にある一室、執務室にきていたエトナはふと自分の主(?)に質問した。
「フロンが天界に帰る? あいつがそう言っているのか?」
「いえ。ただ気になったから聞いてみただけです」
首を傾げるラハールにたんたんと答えるエトナ。しかし相手はラハール。これで納得するわけもなく、
「気になった? どういうことだ?」
再びエトナに質問をした。エトナは気にした様子もなく、
「特に意味はないんですけどね、あたしが殿下の家来を辞めて城を飛び出した時、殿下ってばあたしを連れ戻そうとしたじゃないですか」
ラハールの質問に答えた。だがラハールは、
「あっ、あれはお前ではなくプリニーどもを連れ戻そうとしたのだ! 勘違いをするな!」
「・・・まぁ、そういうことにしといてあげますよ」
当時のことを思い出し、赤く頬を染め否定をする。そしてその反応がわかってましたのごとくエトナは微笑する。
「それでですね、フロンちゃんがあたしみたい城から出て行ったり天界に帰ったりしたら殿下はどうするのかなーって思って聞いてみたわけですよ」
「それが理由か?」
「はい。それが理由です」
「・・・・・・・・・」
呆気からんと言い放つエトナを不審に思い、エトナの表情を見た。が、その顔には喜びも悲しみも、エトナが時々見せる凶悪な笑みも浮かんでいなかった。(どうやら本当に何も考えずに聞いたらしいな)と思ったラハール。だがエトナはラハールの沈黙を誤解したらしく、
「殿下ー? 黙りこくっちゃってどうしたんですか? そんなに難しい問題でした?」
ラハールに問いかけた。
「いや、そうではない」
「そうですか? それじゃ殿下、殿下はフロンちゃんがいなくなったり帰ったりしたらどうします?」
「そうだな・・・」
「・・・・・・・・・」
ラハールは考え込む。対するエトナは黙ってラハールの回答を待っている。そして―――・・・
「意味もなく家来を辞めたり出て行ったとしたら追いかけるかもしれんが、理由があるとするならばとめん。天界のことについても同じだ」
「・・・・・・・・・」
ラハールは堂々と自分の考えをエトナに伝えた。その表情に迷いはなかったが、エトナはラハールの考えに虚をつかれたらしく沈黙した。
「・・・・・・? エトナ? どうかしたのか?」
「へっ・・・? あっ・・・いえ・・・ただ・・・・・・」
「ただ?」
エトナの驚きようを不思議に思い、つい話しかけてしまったラハール。だが、
「ただ・・・その・・・・・・・・・だったらどうして殿下はあたしのことを連れ戻そうとしたのかなーって思って」
「・・・は?」
エトナの言葉を聞いて今度はラハールが驚くはめとなった。
「だってそーじゃないですかー。あたしだって正当な理由があったんですよ?」
「お前の場合はプリンが原因だろうが!! どこが正当な理由だ! どこが!!」
当時のできごとを思い出し、ラハールは叫んだ。
「立派な理由じゃないですか! それに・・・それだけが理由じゃないですし・・・」
「??? どういうことだ? プリンが原因だったのではないのか?」
ラハール同様叫び返したエトナだったが、急に小声になるとラハールにとって思わぬ言葉をしゃべった。そしてそれに首を傾げるラハール。
「・・・なーんでもないですよー! 殿下は気にしないでください♪」
「おっ、おい・・・・・・」
だがエトナはなんのお構いもなしにラハールの質問を無視し、何もなかったように微笑んだ。
「あーあ・・・それにしても殿下、差別って酷いですよー? フロンちゃんはOKであたしがダメだなんて」
思わずため息をつくエトナ。これを見たラハールは、
「お前はオレ様の家来だぞ? どんな理由があろうがそんなものは関係ない。一生オレさまの傍にいて働くのだ!」
ハーハッハッハッハッハとお馴染みの高笑いをするラハール。
そしてエトナは何度か聞いたその台詞に対し、
「・・・殿下・・・それ、意味わかって言ってます?」
「? 何がだ?」
「・・・・・・あ−・・・これも気にしないでください。聞いたあたしがバカでした」
質問したが、あきれる結果となったらしい。
「・・・ってことで殿下、今の会話はなかったことにしてさっさと仕事を始めてください」
「おっ、お前いきなり何を言って・・・」
「仕事ですよ仕事。ほら? さっさとやらないと溜まっていきますよー?」
「ぐっ・・・!」
ラハールとエトナの目の先には机の上にある大量の紙が。それを見て楽しそうな顔をするのがエトナ。嫌そうに顔をしかめるのがラハール。実にわかりきった反応だった。
「あっ、ちなみに逃げ出そうと思っても無駄ですよ? あたしが見張ってますから」
エトナは今まさに逃げ出そうとしていたラハールに声をかける。
「・・・・・・・・・」
「さっ♪ パッパとやっちゃってください♪」
そして無言のまま椅子に座るラハールを見つめるエトナ。






その顔は・・・とても嬉しそうだった――――――。





−あとがき−
エトナとフロンの違いってなんだろう?
と思い、できたのがこの小説です。
ラハールはフロンが天界に帰るって言ったら止めるとは思えないんですよね・・・。うっ、うまく言葉に表すことができないですが・・・(汗)
心のどこかで『いずれそういう時がくる』とか・・・思って・・・たり・・・した・・・り?(・・・)
でもエトナは今まで一緒にいたわけで、今更自分から離れるとは思えない・・・とか簡単に言っちゃえば独占欲・・・?(ぇ)
それにエトナはラハールの過去を知っている数少ない一人なわけで・・・(><*)
あー・・・エトナのこともうまく伝えられないのですが、やっぱりラハールとつき合ってきた時間の違いが最大のポイントかな・・・とか勝手に思い込んでます(`v´*)
いつか子供の頃の2人を書いてみたいものです(書けよ)
それにしてもラハールは『一生』だのなんだの普通に言ってたりするけど、視点を変えればそれは・・・・・・になりますよねぇ・・・?(笑)
・・・とかなんとかいろいろとディス2の2人(特に漫画)を見てると↑のようなことを思ってしまいます。
へかとん先生のラハエト最高です・・・!(*>〜<*)←
ってかありきたりなネタなので誰か様の小説と酷似してそうで恐い・・・(滝汗)
ではでは、読んでくださった方ありがとうございます。少しでもお楽しめたならば幸いでございます。





2008/12/15