解り合えなくても、解ろうとしたい



「なぁマオ、アンタ何をしてるんだい?」
「ベリルか」
学園のトイレを自分の部屋に改造し、そこに引きこもっているマオを尋ねたラズベリル。その表情はあきれているような心配しているような顔だった。だがマオはお構いなしに、
「ふん。お前には関係がない。邪魔だ。さっさと我の部屋から出て行け」
ラズベリルに振り向きもせず、黙々と漫画本を読んでいたマオはめんどくさそうに答えた。目の前の本以外にはまったく興味がないらしい。
「まぁまぁそんなこと言わずにさぁ、一緒にゴミ拾いしよーぜ? 募金活動や献血もさぁ」
しかしラズベリルは気にした様子もなく、マオを誘い出した。が、
「ふっ、ふざけるな! なぜ我のような優等生が不良行為に参加しなくてはならんのだ!」
もちろんのごとく反論するマオ。慌てて漫画本から目を逸らし、ラズベリルを見た。
「そうでもしなきゃアンタはここから一歩もでないだろ? だいたいなんで漫画を読んでいるのさ?」
「お前のような不良には到底理解できんことだ」
「・・・それでもアタイは――」
「とにかく我の邪魔はするな。我は忙しいのだ」
自分の言葉にめげずに話しかけてきたラズベリルを邪魔者扱いし、部屋から出て行くよう指示したマオ。そして再び漫画本に集中し始めた。
「・・・そうかい。それじゃまたくるよ」
マオの言葉と様子を見てラズベリルは諦めたのか、早々とマオの部屋から出て行ったのだった―――。



(・・・・・・アイツはなんだか変わっちまった・・・。そりゃ昔から素直じゃなかったし口も悪かったけど・・・それでも今みたいに孤独を好むようなヤツじゃなかった)
マオの部屋を出たラズベリルは1人で廊下を歩きながら考えていた。
(アタイが知らない間に一体何があったのさ・・・)
ずっと一緒にいた幼馴染が急に変わってしまい、そしてその理由がわからない自分に苛立ちを感じ悲しみを覚え、唇を噛むラズベリル。
と、歩いている間に目の前には、

「あっ、お姉さま!」
「ゴミ拾いの準備は整っておりますわ!」

ラズベリルを尊敬し、慕っている明日禍と狂子がいた。2人とも手にはごみバサミとゴミ袋を持っている。
「待たしちまってすまないね。それじゃ早速行動開始といくよ!」
「「はい!」」
2人にニッコリと笑って見せ、ラズベリルもごみバサミとゴミ袋を持った。そして校舎の中にあるゴミを拾うべく3人は歩き出したのだった。





(マオ、たしかにアタイが不良である以上アンタとは解り合えないかもしれない――)



(・・・それでもアタイはアンタのことを解りたい・・・)



(だからアタイはアタイなりの方法でアンタと向き合っていくつもりさ。・・・・・・・・・たとえアンタがアタイの不良道を認めなくても・・・・・・ね)





−あとがき−
ラズ→マオで共に生きる5題のNo.02でした。
どうやら自分はラズマオの方が書きやすいみたいです。本当はマオラズ小説を多く書きたいのですが・・・(^^;)
慌てふためくマオが書きたい・・・・・・(←
時間帯はアルマースと出会う前の話ってことで・・・・・・。漫画本も超勇者関連のでw
ベリルはいつからマオのことを好きになったのかが不思議ですよねぇ・・・。
ラズベリルEDを見る限りまるっきり行為もってなさそうだしなぁ・・・・・・;
それでもドラマCDを聴く限り小さい頃のマオとベリル仲いいからなぁ・・・。
とりあえずは、マオのオヤジさんが殺されてじいやがマオに勇者の話やら孤独でいるべきやらの話を聞いて、どことなく変わってしまったマオを心配するラズベリルのお話でした(長)
少なからずも気付いていた・・・とか勝手に考えている管理人です(−▽−*)
マオだって最後にはベリルの不良の道を認めたことだし・・・!(何)
ところで、我が地方ではごみバサミのことを『デレッキ』と呼んでいるため今回書くさいに危うく地方限定小説を書いてしまうところでした;
こういう時って標準語とかから離れている地方は苦戦します(^^;)
そしてこの歳になって初めて知ったために、『ごみバサミ』って呼び方に慣れません(苦笑)
後、『火バサミ』とも言うんですね・・・!
ではでは、読んでくださった方ありがとうございます。少しでもお楽しめたならば幸いでございます。





2008/11/01