「こ、このままだと大変なことになりそうな気がしますわ・・・」
アルティナは焦る。
「一刻も早くフーカさんを止めて吸血鬼さんに“あのこと”を知られないようにしないと・・・」
そして大急ぎで部屋から出ようとした。だが―――

「俺がどうかしたのか?」
「――!! きゅ、吸血鬼さん・・・」
突如・・・先ほどの独り言で話題の中心人物だった張本人、ヴァルバトーゼが現れたことによってアルティナは部屋から出ることはなかった――――――。



May 23rd -Altina-



事の始まりは、自分をプリニーとして断じて認めない少女、風祭フーカの言動によって起こった。

―――キスの日。

それは具体的には何をするわけでもなく何が起こるわけでもない。
だが、フーカの「ヴァルっちに教えたらおもしろそう♪」という単純明快な提案により、アルティナは焦る羽目となっていた。そしてヴァルバトーゼにキスの日のことを知らせに行くため部屋を飛び出したフーカを追おうとし、同じく部屋を飛び出そうとしたアルティナだったのだが・・・そこにヴァルバトーゼが現れ―――冒頭に戻るのであった。



「先ほど、この部屋から小娘が物凄い勢いで出ていくのが見えたのだが・・・何かあったのか?」
「あっ・・・それは・・・その・・・」
どうやらヴァルバトーゼとフーカはすれ違いだったらしい。
これでフーカからヴァルバトーゼにキスの日のことを知らされることはない―――そう思い、アルティナは安堵しつつも・・・まさかヴァルバトーゼがこの場に現れるとは夢にも思っていなかったため、どう対応していいかわからなくなる。
―――これでは何の解決にもなっていない気がしますわ・・・。
と、アルティナが思うのも無理はなかった。
「アルティナ? どうした。言いにくいことなのか?」
「い、いえっ・・・そういう事では・・・」
挙動不審なアルティナを気にし、声をかけるヴァルバトーゼだったが、今のこの状態ではアルティナにとってはむしろ逆効果だった。そのため、これ以上ヴァルバトーゼに不審に思われぬようアルティナは大急ぎで答えた。
「ふ、フーカさんは急用を思い出したみたいです。ですがわたくしは急用というのがどのようなものか存じ上げてませんので詳しいことはわかりませんわ・・・」
チラリ・・・とヴァルバトーゼの顔色をうかがうアルティナ。
「・・・ふむ」
「・・・・・・・・・」
そして自分の言葉に納得し頷いたヴァルバトーゼを見て一人心の中で安堵するアルティナだったが―――ヴァルバトーゼが納得した理由は、アルティナが想像していたものとは違った。
「・・・アルティナよ・・・下手な嘘をつくな」
「っ・・・!?」
「・・・お前は嘘を平気でつけるほどできた奴ではない」
ヴァルバトーゼが、いとも簡単に自分の嘘を見破ったのだ。
「わ・・・わたくしは別に嘘なんて・・・」
そのためアルティナは緊張し、これ以上ボロがでないよう慎重に答えた。だがしかし、それさえもヴァルバトーゼにはいとも簡単にバレてしまう。
「・・・必要である嘘も必要ではない嘘・・・どちらも結果的にはいずれ己自身を苦しめることとなる。それを覚えておけ」
約束を破る―――それを断じて許さないヴァルバトーゼだからこそ言える重みがある一言だった。
「・・・吸血鬼さん・・・ですがわたくしは・・・」
そしてヴァルバトーゼの親身な発言に心を痛め悩むアルティナだったが・・・それでもやはり本当のことを話す覚悟はできず、このまま黙り続けることに―――・・・は、ならなかった。
「別に無理に聞き出そうとしているわけではない。だがそれでいいのか?」
「・・・え?」
「人間だった頃ならまだしも、天使になった今・・・嘘をついてもいいのかということだ」
「――?!」
言われて初めて気がつくアルティナ。
自分は今や天使の身。
天使が具体的にどのような存在でなければならない・・・ということはわからないが、嘘をついていいとは思わない。
「・・・きゅ、吸血鬼さんの仰る通りです・・・。わたくしは天使の身なのに嘘を・・・。本当にお恥ずかしい限りですわ・・・」
先ほどの自分の言動を思い出したのか反省するアルティナ。
そしてアルティナは、ヴァルバトーゼにキスの日のことを言うか言わないかの話題は自分の今の反省で終わると思っていた。だが―――
「それで? お前が嘘をつくほど言いにくいこととはなんだ?」
なにがなんでもアルティナから聞き出すつもりらしいヴァルバトーゼ。
「・・・吸血鬼さん・・・? やはり少しイジワルになったのではありませんか・・・?」
そしてそれを聞いたアルティナは困った顔をする。
「悪魔とは元来そういうものだ。観念することだな」
ニヤリ・・・と小さく笑ったヴァルバトーゼは、アルティナに本当のことを言うよう促した。
「・・・わかりました。本当のことを言います・・・ですが・・・その・・・笑わないでくださいね・・・?」
「うむ。承知した」
アルティナはこれ以上誤魔化すのは無理だと判断し、恐る恐る重い口を開いた。
「・・・今日は・・・その・・・――の日なのですわ」
「・・・? なに・・・?」
言う決意をしたが、まだ踏ん切りがつかないのかアルティナは下を向きボソボソと小さな声で呟く。そのためヴァルバトーゼには聞こえず、彼は聞き返す。
「〜っ!! 今日はフーカさんの話によると――」
聞き返されたことによってアルティナは半ばヤケクソで普段より大きな声で喋り、顔を赤く染め上げ―――

「キスの日、らしいですわ!」

ヴァルバトーゼに本当のことを告げたのだった―――。



「キスの日? 小娘がそう言っていたのか?」
「え、えぇ・・・。なんだかとても張り切って吸血鬼さんに伝えようとしていましたわ」
「・・・奴が張り切っていると面倒なことが起こる前兆だな・・・」
「わ、わたくしもそればかりは否定できませんわ・・・」
ヴァルバトーゼとアルティナは互いにフーカの性格を思い出し頷く。
と、ここでヴァルバトーゼは改めてことの真相―――キスの日についてアルティナに質問した。
「それでそのキスの日というのは具体的に何をし、何が起こる日なのだ?」
「・・・さ、さぁ・・・? そこまではわたくしも存じ上げてませんわ・・・。フーカさんも 特にこれといったことは仰ってませんでしたし・・・」
ヴァルバトーゼに質問されたことにより、ふと冷静になって考えてみるアルティナ。
思えばフーカは今日がキスの日だということを言っていただけで、何をすればいいのかまでは言っていなかった。
「・・・つまりお前はそのキスの日がどのような日か知らぬまま俺に隠し通そうとしていたわけか?」
「・・・そ、そういう事になりますわね・・・」
「・・・いまいちわからんな。何故その程度のことをお前は嘘をついてまで隠したのだ?」
「わ、わたくしもいま考えてみれば隠すほどのことではなかったと思うのですが・・・あ、あの時は・・・その・・・」
ヴァルバトーゼに指摘され、冷静になって考えてみるアルティナ。

あの時―――フーカがキスの日のことを教えてくれた時、あまり縁のなかったキスという単語に少し緊張した。
そしてヴァルバトーゼに知られるとわかった時、なんだかとても恥ずかしい気持ちになったのだ。

―――明確な理由はわからない。だが・・・意外と真面目なヴァルバトーゼ。
それこそイベントや行事の類があったらきっと参加するタイプな気がする。
となると、キスの日のことを知ったヴァルバトーゼは何かしようとする可能性が高い。
それでは具体的に何をするのか―――キスの日・・・それはかなりの確率で名前通りのことをする可能性が―――
そうなればヴァルバトーゼは一体誰とキスをしようとするのか―――
そしてその“誰か”の選択肢が自分だとしたならばそれはつまりヴァルバトーゼは自分とキスを―――

(――って、わっ、わたくしったら一体何を考えて――!!?)
と、ここで我に返ったアルティナ、みるみる赤面し始め、
(こ、これではまるでわたくしが吸血鬼さんと・・・き、キスをしたいと思って―――)
更に再び先ほどの考えに戻った時、今度はまるで沸騰するかのように急激に顔が赤くなる。
「・・・アルティナ? 大丈夫か? 先ほどからお前の顔がやけに赤く――」
その時、ヴァルバトーゼがアルティナの急激な赤面と慌てぶりを感じ取り、気にかけた。が、
「だ、大丈夫ですわ。吸血鬼さんがお気になさるほどのことではありません」
「う、うむ・・・そうか?」
「は、はい・・・」
もちろんその問いに素直に答えるわけにはいかないアルティナは、ヴァルバトーゼすらたじろぐほどの気迫を見せ誤魔化した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
その後、二人の間には沈黙が現れる。
「そ、それではわたくしはこの辺で失礼しますわ」
そして数十秒後、これ以上この沈黙の空気に耐えられなくなったのかアルティナは早々と挨拶をし、慌てて部屋から出ようとヴァルバトーゼに背を向け歩き出そうとした。
―――だが、この焦りが原因で思わぬことが起こった。それは―――

「――きゃっ!?」
「!!? アルティナ!」

足がもつれ、転びそうになったのだ。
―――しかし、アルティナが転ぶことはなかった。なぜなら―――

「・・・何もそこまで慌てる必要はなかろう」
「きゅ、吸血鬼さん・・・。あ・・・ありがとうございます・・・」

転びかけたアルティナを見たヴァルバトーゼは瞬時に反応し、彼女の腕を掴み自分の方に抱き寄せたのだ。
一見、何でもないような自然なことに思える。だがそれはその場のみの条件であり問題は“その後”なのである。
つまり―――

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

―――抱き寄せたことにより・・・二人の距離はほぼゼロ―――密着しているのである。それもヴァルバトーゼの肩にアルティナの頭が置かれているというベストな形で―――。
そのため二人の間には妙な空気が流れる。

「・・・あの・・・吸血鬼さん・・・? わ、わたくしはもう平気なので・・・その・・・離していただけると・・・」
「・・・あ、あぁ・・・そう・・・だな・・・」
アルティナに言われ、離そうとするヴァルバトーゼ・・・だったが―――

(っ―――・・・)
自分を上目遣いで見つめるアルティナ。
―――その表情と瞳は熱っぽく―――吸い寄せられるかのように目が離せなくなる。おまけに―――アルティナの髪からいい匂いがし、鼻孔をくすぐる。
そのため―――ごく自然と血を吸いたい衝動に駆られる。というか血を吸ってくださいと言わんばかりの位置と無防備な状態なのだ。むしろそう思わない方がおかしかった。
(ぐっ――これしきのことで・・・・・・)
が、そこはヴァルバトーゼといったところか―――残っている理性で欲望を無理やり押さえ込む。そしてアルティナから言われているように離そうとした。

―――しかし・・・対するアルティナは先ほどの言動とは裏腹に・・・

何かを決意したかのごとく―――
ギュッ・・・と、目を固く閉じ、赤面したままその場から動かなくなってしまったのだ。

(なっ――!?)
これにはさすがのヴァルバトーゼも驚き、硬直する。そして―――

ドクン―――ッ

(・・・っ!)
己の中に流れる血がたぎった感覚を味わう。

―――いっそアルティナがこの場で目を開け、自分から離れることを願ってしまう。
だがヴァルバトーゼの願いはむなしく、アルティナは依然動こうとしない。

・・・・・・妙な空気、雰囲気のまま一体何十秒経ったのかわからない。

アルティナの女性らしい柔らかい身体と温かい体温、どこか甘い匂いに頬を赤く染め、目を閉じ無防備な状態・・・・・・。
(・・・・・・・・・)
これをずっと感じていればさすがのヴァルバトーゼといえ、我慢の限界だった。
次第に熱に浮かされたかのように何も考えられなくなり・・・

―――気がつけばヴァルバトーゼは―――

「・・・アルティナ」
「・・・!」
無意識に―――アルティナの名前を呼び、唇に引き寄せられるかのように顔を近づけていた。
そして名前を呼ばれたことにより一瞬、ビクッと身体を震わせ反応したが、先ほどと変わらず目を固く瞑ったまま動かないアルティナ。

―――元々息がかかるくらい密着していたヴァルバトーゼとアルティナである。顔が近づくのに時間は掛からなかった。
互いの顔の距離はわずか数センチ―――このままいけば――――――

だが――――――事はそう簡単には起こらなかった。

何故ならば―――・・・


「アルティナちゃんごめーん。ヴァルっち見つけれな――って・・・」
「どうしたデスか? おねえ――・・・あっ!!」

フーカとデスコが二人の前に現れたからだ――――――。



考えてみればフーカが部屋から飛び出した時、アルティナは自分も部屋から出ていくつもりだったのでドアを閉めていなかった。そしてヴァルバトーゼもヴァルバトーゼで、これほど長く話し込むとは予想していなかったらしくドアを閉めずにアルティナと話していたわけなのだが・・・
どうやらそれが仇となったらしい。
そのため―――

「小娘・・・それにデスコ・・・」
「フーカ・・・さん・・・デスコ・・・さん・・・」
フーカとデスコの言葉に反応し、互いにドアの方を見るヴァルバトーゼとアルティナ。その表情は呆気にとられていた。
「あー・・・えーと・・・もしかしてアタシ達ものすごくお邪魔だった・・・?」
「はわわわ・・・」
対するフーカとデスコは頬をほんのり赤く染め、気まずそうに・・・失笑しながらヴァルバトーゼとアルティナに問う。もとい、指摘する。
「ち、違いますわよフーカさん!? こ、これは――そ、そう! わたくしが転びそうになったところを吸血鬼さんが助けてくださって――」
「そ、そうだぞ小娘! 何をわけのわからないことを――」
「あっ・・・え・・・そ、そうなの? えっ・・・でもさっきのはどうみたって―――」
「そうデス! デスコ、知ってるデス! あれはキ――」
「!! きっ、気のせいですわよ気のせい! で、ですわよね? 吸血鬼さん?」
「・・・! あ、あぁそうだ。気のせいだ!」
そして指摘されたことによって、今まさに気がついたのごとくすばやく互いに離れ、先ほどの状態を誤魔化すヴァルバトーゼとアルティナ。もちろんこちらも赤面し気まずそうにしているわけなのだが―――明らかにフーカとデスコとは違う赤面である。
「え〜・・・? なんか嘘くさいのよねー・・・」
だが、明らかに様子がおかしいヴァルバトーゼとアルティナをジト目で見つめるフーカ。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
そんなフーカの視線に絶えられないのか、ヴァルバトーゼとアルティナはフーカから目を逸らし沈黙する。この二人の妙な結束を見たフーカはついに諦めたのか、
「・・・まぁいいわ! こうなったら今年は諦める。でも来年は絶対にヴァルっちとアルティナちゃんがキスするとこ見てやるんだから! 覚悟しなさい!」
二人を問い詰めるのを止めた。・・・だがそれは来年に向けての宣戦布告でもあった。
「!? 待て小娘! だから先ほどのはキスではないと何度も――」
もちろんそれに反論せずにはいられないヴァルバトーゼ。だが一度火が点いてしまったフーカは誰にも止められない。つまり――
「いいわねデスコ!? 来年の今日は一日中こっそりと見張るわよ!?」
「はいデスお姉さま! 寝ずの番はデスコにお任せデス!!」
ヴァルバトーゼの言葉が聞こえているのか聞こえていないのか、まったく反応せずにデスコと話し始める。それこそ宣戦布告をしている時点ですでに“こっそり”していないと気がつかないほどにだ。そして、
「よしっ! そうと決まれば早速来年に向けて作戦会議よ!」
「あっ! 待ってくださいデス!! お姉さま!!」
言いたい事を言うだけ言い、フーカとデスコはこの場から早々と立ち去ったのだった―――。



「・・・相変わらずですわねフーカさんは・・・」
「・・・あぁ。まるで台風だな・・・」
フーカとデスコが立ち去った後、ヴァルバトーゼとアルティナはドアの方を見つめポツリと呟いた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
だが、すぐに沈黙へとかわる二人。思い出して見れば元々この二人は話せるような雰囲気ではなかったのだ。
しかしアルティナは勇気をだし、
「・・・あの・・・吸血鬼さん・・・」
「・・・なんだ・・・」
ヴァルバトーゼに話しかける・・・が、その様子は明らかに変である。しかし、ヴァルバトーゼにはそれを気にする余裕はなかった。何故なら、
「・・・その・・・も、もし・・・あの時・・・フーカさんとデスコさんが・・・現れなかったら・・・吸血鬼さんは・・・わたくしに一体何を――」
「――なっ・・・?!」
アルティナが恥じないながらも放った質問にヴァルバトーゼは考えたからだ。

―――アルティナを抱き止め、離そうとするも体温と匂い・・・妙な雰囲気の中でどこか熱っぽい頬と瞳―――そんなアルティナを見て・・・自分は・・・アルティナに対し―――・・・

「っ――!!」
先ほどの自分の行動を思い出す。それはとても普段の自分とは思えない行動であり、驚き、いたたまれなくなり何も言えなくなるのだが―――このまま黙っているわけにもいかない。そのためヴァルバトーゼは、
「そ、それよりも・・・小娘とデスコの来年の計画とやらを止めねばならんな・・・」
無理やり話題を逸らす。
この無理な話題の逸らし方。これにアルティナは何か指摘するかとヴァルバトーゼは思った。だがアルティナから発せられた言葉はヴァルバトーゼが予想していたものとは違った。
「来年・・・ですか・・・」
ポツリ―――と小さく呟いたのだ。
「・・・む? 来年がどうかしたのか?」
もちろんその呟きに疑問を抱くヴァルバトーゼ。
そしてアルティナはゆっくりとその問いに答え始める。
「いえ・・・ただ・・・」
胸元で軽く両手を組み、頬を薄く染め嬉しそうに―――優しく微笑み―――・・・
「来年も・・・吸血鬼さんと一緒の時間を過ごすことができる・・・そう思ったら嬉しかっただけですわ」
ヴァルバトーゼを見つめたのだった。
「――・・・」
一瞬、アルティナのフワッとした・・・見ているこちらが幸せな気分になる天使のような微笑みに言葉がでず、その場に固まってしまうヴァルバトーゼ。そして―――・・・
「・・・約束したからな。恐怖を与えるまで俺はお前を守ると。400年も待ったのだ。今更1年か2年程度でお前に恐怖を味合わせるなど割に合わん。来年どころかこれから何年何十年と先、お前に恐怖を与えるその時を俺は狙い続けてみせよう。故に覚悟しておくことだなアルティナよ」
高らかに宣言し、ニヤリ―――と悪魔らしく笑ったのだ。
―――それは一見脅迫の言葉にも聞こえる。だがアルティナにとってその言葉は―――

―――これから先の時間は共に過ごそう。

と、聞こえてきて―――・・・

だから―――・・・

「・・・フフ。わかりましたわ。覚悟しておきます・・・なので・・・これから先もよろしくお願いしますね? 吸血鬼さん」
再び優しく嬉しそうに・・・ヴァルバトーゼに微笑むアルティナ。
そしてヴァルバトーゼもアルティナの笑顔に答えるかのように、
「・・・あぁ」
フッ―――と小さく笑い、嬉しそうに相槌を打つのだった―――。


そう―――・・・二人が共に過ごす時間は―――

まだ始まったばかりなのだから――――――。





−あとがき−
ハイ。お気づきの方がいらっしゃると思います。
この『キスの日小説』は去年のやつの続き・・・?だったりします。
えぇ。まさかの1年後に続きですよ? 自分でも信じられません。ほんっっっとありえねぇ( Д )
ついでにぶっちゃけるとこの小説、実は今年の1月には完成・・・してました・・・ぜ・・・?
い・・・いや・・・ね?ほら・・・1月ともなればもう5月待ってもいいんじゃね・・・?ってなって・・・ね?
・・・ね?(
そしていい加減甘々な小説を書こうな自分・・・とは思ってるのですが・・・です・・・が・・・
ディスガイアで甘々とかさ? 甘々なカップルであるアデロザとアルサファ以外じゃとても書ける気がしな(以下略
文章が似てきているのも気をつけるべし気をつけるべしぃい!!




2012/05/23